最近、「ボールが怖い」という子どもたちが増えていると聞きます。
実は私、「ボールが怖い」という気持ちがとてもよくわかるのです。
ドッジボールがひたすら怖かった小学生時代
「体育の時間 何をする?」
「ドッジボール!!」みんなの嬉しい声が響きます。
そんな中で、暗い気分になる私。体育の時間、ドッジボールほど嫌いなものはなかったのです。
ボールが当たればとても痛いし、強いボールを受け取るなんて到底できない私は、死に物狂いで逃げ回っていました。みんなのボールが、逃げ回る私をめがけて飛んできます。ゲームの標的になったみたい。どうしてこんな怖い思いをしなければならないの?
「ボール怖いんだね。」と大好きだった先生まで笑っています。こんな残酷なゲームがほかにあるでしょうか?
でも、友達はみんなドッジボールが大好き。まっすぐに速いボールを投げるすらりとした女の子はクラスのアイドル!
逃げ回っても最後にはガーンと痛いボールをぶつけられる私は、とってもみじめ・・・。
ドッジボールばかりでなく、私は中学、高校でソフトボール投げはクラスで最下位、球技大会では、ハンドボールという一番地味な種目を選びました。大学では、ソフトボールが盛んで、私が苦手なのを知っている仲間は「バットにボールを当てるように投げてあげて!」という指示を出すのですが空振り、テニスの授業ではほとんどラケットを通り過ぎていくボールを拾いに走る・・・という惨憺たる学校生活でした。
何よりも、自分がいることでチームが負ける、というプレッシャーはとても大きなものだったのを覚えています。
どうして、球技がこんなに苦手だったのでしょうか?
一つは、幼児期にあまりボール遊びをすることがなかったからかもしれません。
二つめは、近眼で、ボールそのものがぼんやりしか見えなくて、スピード感や距離感をつかめなかった。そして当たった時の痛さがトラウマのようになっていたからかもしれません。
三つめは、3月生まれでクラスで一番年齢が小さく、特に低学年の頃はほかの友達のできることに追いつけなかったからかもしれません。
ボールが怖いお子様の保護者の方へ
うちの子はボールが怖いようで、球技があまり得意でなくて・・・
という保護者の方もいらっしゃると思います。
お子様が学校生活を続けている限り、球技から逃れることはなかなか難しいかもしれません。
特に集団プレーをするとき、「自分がボールが苦手だからチームが負ける」という恐怖感は、ボールが怖い子どもでないとなかなか理解できないと思います。
少しでも「怖い」「苦手」から「好き」に近づくように、こんな工夫もできると思います。
・幼児期からボール遊びを一緒にして「ボールは楽しい」という感覚をつける。
ボールを投げたり取ったりするだけでなく、転がしたり、蹴ったり、色々な遊び方をしてみましょう。
・小学生になったら、ボールを投げるコツを一緒に考えてみる。
ボール投げの練習は肘と手首の使い方から始めるとよいようです。大きなボールはつかみにくいので、両手で持ったり、小さめのボールや軟らかいボールを使ってみたりするとよいかもしれません。
1 投げたい方向を見て、そちらにボールを持っていないほうの手を伸ばします。ボールを持っていない側の足を踏み出して体を横に向けます。
2 肘と手首を伸ばしながら、投げたい方向に体を向けながら、足に体重を乗せていきます。
3 肘と手首をまげてしっかりとボールを持った後、肘と手首を伸ばして投げます。
すぐには思い通りにいかないかもしれません。
何度も何度も繰り返すうちに、タイミングやコツがわかって来るでしょう。
自分の投げたボールが、思う方向に飛ぶようになれば、「ボールが怖い」から「ボールが楽しい」という気持ちになっていくと思います。
球技が苦手でも人生は楽しい!!
実は私の子どもたちとは幼児期からボール遊びをするように心がけました。
しかし、一人として「球技が得意」な子どもには育ちませんでした。
多様性の時代、球技が苦手でも、ほかにも楽しいことは限りなくたくさんあります。
走ることが好き、泳ぐことが好き、体操競技が好き・・・
スポーツをすることが苦手なら、スポーツ観戦が好き
歌うことが好き、踊ることが好き、楽器を演奏することが好き、本を読むことが好き、
お友達と一緒にいることが好き、動物が好き、虫が好き・・・
ひとり一人のお子様が好きなことを見つけて、たった一度の人生を楽しく過ごせるように見守るのも
保護者や子育て支援者の役割かな と思います。
中舘 慈子
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